安く旅する手段といえば車中泊。でも車内で睡眠ってどう?
鉄道や航空機などの時間に縛られず、予約も要らず、ホテルや旅館のように多額の費用もかからない。そんな自由自在な旅行スタイルとして昨今人気を集めているのが車中泊旅行です。
その名の通り、狭い自家用車内で寝るわけですから、ホテルのベッドのように快適とはなかなかいきません。狭いだけでなく、シートの段差が気になったり、足を存分に伸ばせなかったり、暑かったり寒かったりと、苦労話も多いものです。それでも、いくつか工夫を施してやると、なかなか良い按配に安眠を確保することができます。
71:とにかくフルフラットを目指す
自家用車にもさまざまな車種がありますが、車中泊に向いたクルマと言えばやはりキャンピングカー。とはいえ、キャンピングカーを持つ家庭は非常に少ないのも現実です。
実際に車中泊を楽しんでいる人もまた、キャンピングカーを利用しているという人はごくわずか。ほとんどの人は普段使いのクルマをそのまま使っています。
居住性の高くないクルマでも、シートを全部倒したり格納することで、寝転がれるスペースを生み出せるからです。
まずは自宅のクルマがシートを倒してフルフラットになるかどうかを確認しましょう。
上の写真はコンパクトミニバントヨタ ウィッシュのシートをフルフラットにしたものです。シートを倒すとかなり広い面積が確保できることがわかります。
72:軽自動車で車中泊する場合
3列シートでもなく、トランクスルーもできない車種の場合、前列と後列シートのみを使ってフルフラットスペースを確保する方法をとりましょう。
73:シートのデコボコを解消する
シートを倒してフルフラット空間を作り出せても、シートのデコボコが気になって寝るどころではないはず。
そこで、さらにフラットにするために、エアベッドやキャンプシートを敷きましょう。ベニヤ板を敷くという手もありますが、エアベッドやキャンプシートなら小さくすることができるので、保管上楽です。
また、軽自動車などの場合はシートのデコボコ部分にビーズクッションを詰めるなどの工夫をほどこします。
これで、かなり寝付きやすい空間となりました。
74:耳と目から入る刺激をシャットアウト
クルマの中というのは、結構外の音が聞こえてくるものです。また、ガラスしか遮るものがないので、余計な光が車内に射しこんできて眠りを妨げることもよくあります。
前章「飛行機内での安眠対策」と同じく対策68のように耳と目から入る刺激を遮断しましょう。
まずは耳栓です。外を走るクルマの音や近隣でアイドリングしたまま駐車されたクルマのエンジン音、雨天時にボディに叩きつけられる雨音などを遮断するのに必須。
そしてアイマスクですが、これはあってもなくても結構です。それ以上に車内を覗かれたりしないようにするためにフロント、サイド、リアグラスを目隠しで覆ってしまいます。
75:暑さと寒さを防ぐ
車内は外気の影響を非常に受けやすい環境です。要は夏は暑く、冬は寒いのが車内。この環境下ではなかなか寝つけません。
冬場の寒さは、厚着と口が小さなマミー型寝袋で対応します。寝袋の中に使い捨てカイロを入れるなどの方法もあります。
また、寝袋の下に敷布団を敷いたり銀マットを敷くなどして、床からの寒気を防御します。窓も目張りできればさらによくなります。
夏場の暑さはコレ以上に厄介です。窓を開けて外の風を通すのが考えられる方法ですが、防犯上の問題があります。ジェルマットを敷くとか、電池式のミニ扇風機を使う、クーラーボックスに凍らせたペットボトルを入れておき、夜はそれを取り出して抱えて寝る、などいくつか方法がありますが、決定打というほどのものはなかなかありません。
気温の低い高所や北海道で車中泊するのがベストですが、そういうわけにもいかないでしょうし。
ただ、どちらにしても寒いからとか暑いからという理由でエアコンを点けっぱなしで就寝するのはやめましょう。アイドリング音が近隣に迷惑なだけでなく、特に冬場は積雪でマフラーが覆われ一酸化炭素中毒で死亡するおそれがあります。
いくつか車中泊での安眠対策を記しましたが、詳しくはこちらを参照してください。